当時7歳(小学2年生)の長女が一時帰国中に日本の小学校に通った際の体験記です。
タイの公立小学校の春休みである2022年の3月下旬から5月中旬までの期間、2018年から4年ぶりに一時帰国をしてきました。
日本に長期滞在する機会はなかなかないので、せっかくなら「日本の小学校に通う」という体験もしてほしいと考え、タイを出国する前から少しずつ準備。
しかし、学校や生徒、保護者にとって迷惑でないか?は気になりますよね…。
この記事を読んでいただければ、なぜ迷惑行為と思われてしまう事例があるのか?や日本で体験入学をする際の大まかな手順がわかるはず。
必要とされている情報が見つかれば幸いです。

本人が嫌がったら辞めようと考えていましたが、結果的に娘の日本滞在を充実させてくれる素晴らしい体験になったと感じています
一時帰国中の日本での体験入学とは?

そもそも一時帰国中の体験入学とはどの様な制度なのでしょう?
文部科学省が幼稚園~義務教育、高校生の保護者向けFAQを作成していますので、一部を引用します。
いわゆる「体験入学」は国の制度としては存在しておらず、正規の編入学とは違い、各教育委員会の裁量によって実施されているものです。「体験入学」を実施していない教育委員会もあれば、実施していても期間や条件が違う場合もあります。
出典: 文部科学省 海外から一時帰国中又は一時帰国を予定しているお子様の保護者向けお問合せに寄せられたFAQ
~中略~
居住している、もしくは居住する予定である自治体の教育委員会にお問い合わせください。
まず、「体験入学」は国の制度としては存在しません。
そして各教育委員会の裁量によって実施されています。
期間や条件も教育委員会の管轄です。
一時帰国中の体験入学は迷惑か?
Yahoo!知恵袋にてみつけた質問&回答を参考資料として紹介すると
質問:(前略)入学させたい学校に連絡したところ、区の教育委員会の方へ連絡してくださいと言われ、連絡しましたが体験入学は出来ないと言われてしまいました。でも、他の方の話では毎年海外から一時帰国して通ってくるお子さん達がいると聞きました。
出典: Yahoo!知恵袋 一時帰国の際に、小学校に体験入学させようと考えているのですが、いろいろ難しそうで。
とは言え一度断られているので、どうしていいか迷っています。
ベストアンサー:東京都の教員です。
体験入学ではなく、きちんと転入転出の手続きをしてください。教科書、保険、給食の関係で、手続きなしの体験入学として通うことはできません。転入であれば、区役所は拒否しません。
この質問者は地域の教育委員会に問い合わせ一度体験入学を断られましたが、他の地域で体験入学してる人の話を聞いてどうするか迷っているということでした。
ベストアンサーにある通り、地域によっては転入でないと受け入れらない学校もあります。
ここのルールを理解せず「毎年海外から一時帰国して通ってくるお子さん達がいる学校があるのに、どうして自分達は受け入れてもらえないのか?」と我を通そうとする行為は、学校や先生方の迷惑になってしまうようです。
生徒や保護者に与える影響も地域性によることが多いと思うので、学校との面談で過去の受け入れ事例やトラブルの報告がなかったかなど、留意点を確認しておくと良いかも知れません。
一時帰国中にいる学区内の学校で体験入学できるか確認する方法
学校?役所?どこに連絡すればいいの?と不安な方もいるかも知れませんが、最終的に各機関が確認を取る先は教育委員会です。
一時帰国中の滞在先が学区となる小・中学校が、体験入学を受け入れているか確認する方法としては、教育委員会に問い合わせ、回答をもらってから学校に連絡するのが最も確実な方法と言えるでしょう。
一時帰国中の小学校、体験入学と編入学の違い

次に滞在先が学区となる小中学校が「体験入学」を受け付けていない場合でも、確実に学校に通える「編入学」について紹介します。
短期間の一時帰国でも、滞在中に『転入届』を提出している場合、保護者と学校には『教育を受けさせる義務』が生じ、正規編入が可能です。

今回の一時帰国では、別件の事務手続きで日本での住所を証明しなければいけなかったので、転入届けを出し『編入学』にて娘を日本の小学校に通わせました
一時帰国中、転入届を提出し編入学する場合
前述の通り、滞在中の日本で役所に『転入届』を出す場合、お子さんは日本に住んでいる子と同じように『義務教育』を受けることができます。
転入届を提出する際には、まず役所で学区内の公立学校に届ける「転入学通知書(就学通知書)」を受け取り、これを提出して「編入学」という形で一時的に日本の小学校に通います。
「編入学」の場合、教科書は無料支給です。
また、海外に戻る際には最終登校日よりも前に役所に行き転出通知書をもらって学校に提出します。
これで日本の学校に通っていたことを証明する在学証明書を受け取ることができます。
娘も3週間ほどの通学でしたが、在学証明書をもらってきました。

一時帰国中、転入届を提出しない体験入学の場合
体験入学できるかの確認方法として、教育委員会への問い合わせを紹介しましたが、
そもそも教育委員会として『体験入学を受け入れていません』と明言している地域もあります。
海外から日本の固定電話に連絡するのはお金も時間も勿体ないので、まずはネットで確認してみてください。
【地域名 教育委員会】で検索すると自治体の公式HPが見つかります。
公式HPのサイト内検索で【体験入学】と入れると、大抵は詳細が出てきます。
例として千代田区と練馬区で調べてみました。
結果、千代田区は子育て世代向けの案内にて「一時帰国中の体験入学を受け入れていない」とハッキリ記載しています。

練馬区は期間や学校によりケースバイケースで受け入れていますが、滞在先住所が確認できる書類を提出するという条件付きです。

人の出入りが激しい都心部は体験入学を受け入れていないケースが多いようなので、計画がある方は早い段階で検索だけしておいた方が良いでしょう。

私の地元さいたま市では公式HPに情報がなかったので学校へ直接メール確認したところ、体験入学の受け入れ可の回答がありました
一時帰国中の体験入学・編入学の流れと注意点
続いて体験入学・編入の流れです。
大まかな流れをフローにしました。

当然のことながら住民票を入れる予定がなく教育委員会が体験入学を受け入れていない場合、滞在場所を変えて再度確認するか諦めるかの2択です。
教育委員会では体験入学を受け入れていても、学校側の定める条件を満たさない場合は受け入れ不可になるケースもあります。
ネットで簡単!学区の確認←これ超重要

手順の中で見落としがちな項目が学区の確認です。
一時帰国中の滞在先に土地勘がない場合は当然調べると思いますが、生まれ育った街でも市町村合併や学校の新設・廃止によって学区が変わっていることがあります。
近所に友達が住んでいるからと言っても、細い道を挟んで東西で違う学区なんてこともあります。
実家から一番近い学校に通えるとも限りません。
問い合わせ先そのものが変わってしまう可能性もあるので、滞在先から通学できるとすればどの学校の学区なのかは早い段階で確認しておきましょう。
ガッコムという学校教育情報サイトで全国地図や郵便番号から学校・園を探すことができます。

実家から徒歩10分の場所にある学校の学区だと思い込んでコンタクトをとっていましたが、なんと実際には2019年に新設された徒歩15分の学校の学区でした
学校・教育委員会に問い合わせる
次に学校(または教育委員会)に問い合わせ。
住民票を入れて『編入学』する場合、手続き上は正規の編入ではあっても一時帰国中の短期間通学であることは学校に伝えておいた方が良いでしょう。
『体験入学』の場合には地域の教育委員会が受け入れを行っているか確認の上、学校に連絡し、期間や日本語能力を伝え、受け入れが可能か確認します。
体験入学の手続きは学校によって異なる
体験入学は各教育委員会の裁量によって実施されているので、学校により手続きの流れは異なります。
今回、住民票を入れる事務手続きが必要ない段階で、体験入学での問い合わせをしていました。
そのときの流れは以下の通りです。
問い合わせ段階では日本国外からやり取りできますが、学校での面談から登校までは日本についてからの話になります。
面談と初日の日程がサクッと決められると、日本到着後の流れもスムーズです。
学校での顔合わせと手続き

学校での面談では「教科書の貸出し」「購入が必要な学用品についてアドバイス」「給食費の算出方法」などを説明してもらいました。
欠席する場合の連絡方法は保護者がウェブ上で行うようになっていて時代の流れを感じましたが、細かい部分も先生から教えてもらえて助かりました。
時間的余裕があれば保護者が後日学校に足を運ぶこともできますが、忙しい方はこの面談を逃すと先生に直接質問するチャンスがなかなかありません。
懸案事項をリストにしておくと後々楽だと感じました。
特に、体験入学では教科書が支給されないので、授業で使うものをどこまで用意すれば良いのか?何が貸し出しで絶対購入が必要なものは何か?をよく確認しておいた方後々困ることがないように思います。
小学校の登校班を確認

小学校の「登校班」は学校によって決まっているそうで、同じ県内、同じ市町村でも小学校により異なるルールで登校しています。
遅刻しなければ好きな時間に登校して良いという学校もあるようですが、娘の通わせてもらった小学校では地域の保護者が協力して登校班をサポートされていました。
海外からの一時帰国で徒歩通学に不安がありましたが、登校班のおかげで安心して学校に行かせることができました。
家が近い同学年のお友達と知り合うきっかけにもなったので良かったです。

タイ育ちの娘が初めて歩いて学校から帰ってきたときの感動は時間が経っても色褪せません
一時帰国中の体験入学・編入に必要な学用品と費用

体験入学(編入)で用意したものを紹介します。
学校との面談時、短期間のため代用品でも構わないと言われたものが多いのです。
結果的にかかった費用の総額は約7,000円でした(約4週間、登校日数18日)。
内訳とあわせて紹介していきます。
体験入学(編入学)のため準備したもの

正式に入学する場合は一式揃えて名前つけなども必要な持ち物ですが、今回は短期間のため不要としてもらえたものや購入せず代用品で済ませたものは以下の通りです。
学用品 | 費用が掛からなかった理由 |
---|---|
ランドセル | 手持ちのバッグで可 |
体操服 | 手持ちの半袖半ズボンで可 |
赤白帽子 | なくても可 |
防災用ヘルメット | 自宅の防災グッズを使用 |
色鉛筆など道具箱の中身 | 自宅にあったものを使用 |
教科書・ドリル | 貸出または支給 |
通学用の黄色い帽子 | なくても可 |
授業料 | 公立のため不要 |
次に購入したものの内訳を紹介します。
上履きは底がキレイな運動靴でも構わないと言われましたが、なかったので買いました。
学校指定のものでなければ、大型ショッピングセンターでキャンパス地やゴム製の安い上履きが購入できます。
名札は面談の日に現金で購入。
給食当番用の帽子や4Bの鉛筆、赤青鉛筆は100均にありました。
ノートや筆記用具はタイに持ち帰ることも考えて多めに購入しています。
学用品 | 金額 |
---|---|
名札 | 150円 |
上履き | 1,000円 |
ノート、筆記用具 | 1,500円 |
給食費(18日分) | 3,500円 |
テストなどの教材費 | 560円 |
給食当番用のエプロンと帽子 | 220円 |
体験入学中の学校給食費は日割り計算

給食費は1日あたり約200円、日割りで請求されます。
親としては献立が配られ、何を食べているかわかるのが新鮮でした。
タイでも給食を食べていますが、娘(野菜が苦手)いわく『日本の給食は野菜の種類が多い』そうです。
ちなみに、日本の学校で一番気に入ったものは【うんてい】。日本で公園に行ってもせっせとうんていばかりしていました。

娘には日本滞在中に少しでも色々な体験をしてほしいと思って挑戦した『日本の小学校』。
新学期からの通学で他にも転校生がいましたし、低学年で学習レベル的にも良いタイミングで通うことができました。
これまで使ってきた日本語の能力に自信を持つきっかけになったように感じます。
現在5歳の次女も数年後には日本の学校に通う体験をして、少しでも視野を広げてくれたらなぁと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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