タイのお祭りの一つで世界的にも奇祭と呼ばれる「プーケットベジタリアンフェスティバル(九皇大帝祭)」について、プーケット在住者目線で解説します。
どんな内容かというと、菜食料理を食べ、神様が降りてきたトランス状態の人たちの痛い(物理的に)パレードを見て、爆竹の大爆音と煙に圧倒されるというお祭りです。
※苦手な方も多いと思うので、ブログではお祭りの写真は掲載しません。
興味がある方はYoutubeなどで検索してみてください。
プーケットベジタリアンフェルティバスの概要
まずはお祭りの基礎情報。
名称 | Phuket Vegetarian Festival |
期間 | 毎年陰暦の9月に9日間開催 |
会場 | プーケット各地の中華寺院 |
電話 (TAT プーケット事務所) | 076-211-036 |
公式サイト | http://phuketvegetarian.com/http://phuketvegetarian.com/ |
お祭りの主神「九皇大帝」を祀るプーケットタウンの中華寺院「Jui Tui Shrine」
日程は毎年変わるため次の項目へ。
お祭りの舞台となる中華寺院は、プーケットを舞台にした大ヒットドラマ『I Told Sunset About You(แปลรักฉันด้วยใจเธอ・僕の愛を君の心で訳して)』にも度々登場しています。
プーケットベジタリアンフェスティバルの日程
毎年陰暦の9月に9日間開催されるので、日程はその年によって変わります。
2021年の開催は10月5日~15日です(メインイベントは13&14日)
(2020年の開催は10月17日から10月25日)
初めてタイに来たときに見た中国式寺院での儀式に衝撃を受け、この感覚を日本に住んでいる友人と共有したいと思い、その当時出始めた初代iPhoneで動画を撮影しました。
しかし帰国後スマホを水没させてしまった苦い思い出が…、その記憶もこのお祭りがくるたびに蘇ります。
誰に話したくなる、一生の思い出になる、他では絶対に体験できない、特別なお祭りです。
ベジタリアンフェスティバルの魅力
このお祭りの魅力は目の前で次々とショッキングなことが起こる驚きや、神が人の体に降りる場面に遭遇できるスピリチュアル体験、ひと味違うタイ菜食料理との出会いです。
お祭り期間中、プーケット島内には『九皇大帝(きゅーおーんたいてい)』と書かれた黄色い旗があちこちに掲げられます。このお祭りにおいて信者が祈りを捧げている神様のお名前が九皇大帝です。
お祭りは9日間にわたって行われ、決められたスケジュールでエリア別に、熱心な信者による刺激的な儀式が行われます。
最も派手なのは最終日、プーケットオールドタウンで行われるパレードです。
身心を清めるための儀式では身体を痛めつける苦行が繰り広げられ、毎年この様子が衝撃映像として取り上げられています。
思わず目を背けたくなる光景ですが、信者たちはこの苦行によってトランス状態に突入し、神をその体に降ろすと言われています。
これこそこのお祭り最大の見所で、これまで世界中から多くのカメラマンがこの奇祭を写真に収めるためプーケットを訪れています。
滞在期間がお祭りの期間に重なる場合は、お寺の場所と日時をチェックしてみるといいですね。
儀式のない日にお寺に行っても特に何もありませんが、お参りは自由です。
なぜ「ベジタリアン」なのか
ベジタリアンフェスティバルは宗教行事であるため、道教の信者にとっては神聖な儀式の場です。
観光客も見学することはできますが、現地での振る舞いには注意が必要です。
それは、このお祭りが「ベジタリアンフェスティバル」と呼ばれる理由にあります。
お祭りの期間中はプーケットだけでなく、タイ全土が菜食期間に入ります。
タイ語では「キンジェー」言いますがこれは「キン(食べる)」+「ジェー(齋=菜食)」の意味で、
セブンイレブンやスーパーマーケットでも齋=菜食のテーマカラーのコーナーが設けられ、菜食仕様のカップ麺や食材が並びます。
そして菜食は「禁欲して身を清める神に祈りを捧げる」という10ある戒律の一つです。
ベジタリアンフェスティバル10の戒律とは
「キンジェー」期間は菜食を含む10の戒律があります。儀式の参加者は厳格にこれを守っていますので、彼ら冒涜するような行為は御法度です。
キンジェー10の戒律
- 身体の衛生を保つこと
- 調理器具の清潔に注意し菜食でない人と共有しないこと
- 上下白い衣装を着用
- 殺生をしない、正しい行いをする
- 肉食の禁止(魚、卵、乳製品の他、ニンニク、ニラ、ネギなどの臭い野菜も不可)
- 性行為をしない
- 酒を飲まない
- 喪中の人は参加しない
- 妊婦は儀式を見てはいけない
- 生理中の女性は参加禁止
見学する観光客が全てを厳格に守っていなければいけないという決まりはありませんので、ご安心下さい。
ただ、ド派手な服装や妊娠後期で誰から見ても妊婦と分かる場合、パレードを見ながらの飲酒や肉食は現地の人から白い目で見られたり、場合によっては怒らせてしまうこともあるので最低限のマナーにご注意を。
菜食料理は戒律からパクチー抜きなのでパクチーが駄目という方にはぴったりです!
キンジェーの起源は?
プーケットは500年前ごろから錫(すず)貿易で栄え、中国とインドの貿易中間地として、多くの華僑が移り住んだ町です。貿易によって入ってきたオランダやポルトガルからの欧州文化と、そこに住む福建系中国人の文化が融合され、今もその頃のシノヨーロッパの建物が残る旧市街です。
華僑たちの持ち込んだ文化として「道教」があり、この神々を祀る中国式寺院が街のいたるところにあります。
現在も中華系の島民の多くは島の内陸側に住み、外国人観光客が多く滞在するビーチ沿いは元々ムスリム系住人が多いエリアだったため、これまで旅行に来たことはあっても中国式寺院を目にする機会がないという人もいるかも知れません。
中国式寺院の外観は日本人からすると「竜宮城っぽい(見たことないけど)」雰囲気です。
このお祭りの起源は1825年頃、中国系労働者の慰問に訪れた京劇団員が病に倒れ、疫病退散のため、神に祈りを捧げながら厳格な菜食を続けたところ、病が完治したことに由来しています。
ちょっと待って!調理器具の清潔や禁欲・禁酒など今で言う感染予防対策に通じている部分もあるようですね。
今ではインパクトのある儀式やパレードが注目されていますが、起源としては10の戒律が大きな意味を持っていたようです。
おすすめ菜食グルメ
最近では日本にもタイ料理のメニューが浸透し、「ガパオライス」と言えばどんな料理が想像がつく人も多いと思います。
しかし、海外旅行に慣れてきた人や新しい物好きの人は、海外の「何だか分からないけど美味しそうなもの」に挑戦して自分の世界を広げたいと思うんです!
私もその一人なのでキンジェー期間中には毎年いろいろな菜食グルメを試して、新たな発見をしています。
菜食週間はタイ全土で行われており、デパートのフードコートでも「キンジェーフェア」が開催されます。バンコクではチャイナタウン(ヤワラート)の中華門周辺に菜食料理の屋台が並びますね。
菜食グルメは揚げ物や麺類が多く油っこく決してヘルシーとは言えないのですが、私のおすすめは「代替え食材のタイ料理」です。
通常鶏肉を使って作られるガパオライスやグリーンカレーも菜食期間中は、厚揚げや大豆ミート、きのこやコンニャクを代替え食材にして作っているので、いつもタイ料理がひと味違ってとても楽しめますし何より美味しいです。
中国系のお祭りなので普段はあまり食べない中国菓子にも挑戦しますが、菜食仕様でラードを植物油に置き換えてあり食べやすい印象です。
菜食仕様の食品は期間限定であることも多いので、この時期にタイに来る方はスーパーで買える菜食食材やお菓子を日本へのお土産にしてみてはいかがでしょうか?
さいごに
2020年に続き2021年も、まだまだ日本からタイへの旅行は難しく、とても残念です。
タイ国内にいて、この機会にタイの色んな場所に旅行に行ってみたい!という方には是非訪れてほしいイベントの一つです。
2021年の開催についてはタイ国政府観光庁(TAT)を確認頂くか、 TATプーケット事務所まで(TEL: 076-211-036・facebookhttps://www.facebook.com/TourismAuthorityOfThailandPhuket)お問い合わせをお願いします。
プーケットベジタリアンフェスティバルは、日本語での案内が少なく、実際に旅行に行こうとしたときどのお寺でどんなイベントをしているのかの情報が見つかりにくいという問題があります。
イベントのスケジュールやおすすめの滞在プランをまとめた記事もありますので、気になる方はこちらも是非読んでみて下さい♪
最後までお読みいただきありがとうございました。